ALCADIA X-3はMicroATX規格ケースということでR-I/Eシステムの小型化に挑戦しました。X-1及びX-2でこのシステムの基本的なデータや設計上のノウハウはかなり蓄積できていましたが、X-3では小型化によるケース内部の空気体積の減少がどのように影響するのか、そして発熱体が接近して搭載されることの影響やケーブル類の結線状況による影響がどのように出てくるのかといった課題をクリアすることがポイントだったと思います。実際に前面に搭載する吸気用ファンの小型化に伴う風量の減少をカバーするための方策として、HDD搭載ピッチの拡大(最大搭載時9mm)、および排気ファンを吸気と同等にすることにより排気風量をポジティブ側にシフトさせてケース内部のエアフローの減少をカバーすることが有効となりました。この規格では内部は非常にタイトな仕様となりますので、全体のエアフローの流速を早めるというよりむしろ積極的に排気発力で熱溜りを除去する方向が望ましい。これは思うように吸気ファンの設定が出来ないキューブタイプ製作上の経験値でもありました。その結果、X-2と同等以上の冷却性能を確保できたということで、マイクロATXケースでは非常に優秀な性能と思っています。しかし、HDDの少数搭載で前面吸気をダイレクトにCPUクーラーに当てすぎると、結果としてCPUモニタリング温度が上昇するといった局面もあり、十分に注意してHDD搭載ポジションを決めて欲しいと思います。またケーブルの配線はケース内部冷却に関し非常に大きなファクターとなります。特にマイクロATXではHDD背面コネクタ部周りの配線を出来るだけ整理して欲しいと思います。
静音化に関しても条件としては、音源が狭い範囲に集中することで音域が若干上がりますが、小型化によりシャシー剛性の相対的な向上とHDD搭載数の減少等もあり、ファンノイズが若干増大したにも関わらずX-2を下回る騒音値を確保することが出来ました。
ALCADIA シリーズのケースポテンシャルは非常に高く、細かなチューニングを組み合わせることで非常に大きな効果となって現れてきます。実際の販売に対しては「スタンダードなケース仕様」という原則上、ポテンシャルを残したままとしていますが、そのあたりの楽しみ方もまた自作の醍醐味となるのではないでしょうか。ALCADIA X-3はマイクロATXケースとして最高水準の基本性能と十二分なケースポテンシャルを秘めた自信作となりました。
<開発チーム・リーダー 荻野 聡>