Core i7とケース

November
30
2008

 Intel Core i7・・・それにしても世界中が経済危機に見舞われる中、物凄いCPUが登場したものだ。長かったPentium時代に終止符を打ったのはDual Coreという発想とPentium M譲りの省電力な回路設計で登場したCore 2 Duoとその発展形のCore 2 Quad。当然のことながら一昔前のRisk型演算思想に基づく並列演算を取り入れれば、相対的な演算速度は飛躍的に向上するはず。しかし現実にクロック数が2倍になると演算速度が2倍というのは難しいのと同様にDual Core 即2倍と言うわけには行きません。しかし、Pentium 4→Pentium Dへの移行期に技術的な課題を非常に多く抱えていたIntelは、そのほとんどをCore 2でクリアしたと言っていいと思います。特にトランジスタの使い方を非常に工夫しているらしく、消費電力(=発熱量)は大きく改善しました。しかし、その後のIntelを見ていると、Quadにする事が少しイージーなんじゃないかと疑問を感じていました。つまりCore 2はCoreを×2の場合と×4の場合でほぼ同じような条件で拡張してきているし、当然並列演算の倍数だから速度は上がるのも理解できるけれど、基本はCore単体の技術なんだと言うことです。つまり並列演算機能を最大限強化する方法論がまだ確立されていないのかも知れないという点です。しかし、今回のCore i7の登場は、つまりもう一歩踏み込んで、複数コアの連携動作を徹底的に追及した後がうかがえて、これでようやくこの技術が完成したのかなと思わせる、物凄いCPUとなりました。このCPUの登場はPC業界にとてつもない変革をもたらすということは、もう決まったも同然でしょう。兎にも角にも素晴らしいパフォーマンスに脱帽です。実際HOSHINO INGでも最新のパフォーマンスを十分に検証していますし、何よりもSSD RAIDとの組み合わせは圧巻の一言。これが、ここ数年間、自作業界が待っていた性能なんだと思わざるを得ません。

 

 現在のWiNDyケースの冷却パフォーマンスのベンチマークは当時「電熱器」と称されたPentium Dであり、約50%のマージンを考慮していました。当時の製品のページなどを改めて見返すとはっきりとそのことは表記してあります。この冷却基準はCore 2 時代(=静音PCブーム)を迎えても引き下げることはしませんでした。一時的には少なくなっても、どう考えてもパフォーマンスが向上すれば比例的に発熱量(消費電力)は増加すると思っていましたから。もちろん、D時代から正比例するとは思っていませんが、いかな技術を用いても最終的には右肩上がりになると。時代は静音ブームに突入し、「WiNDyのケースは煩い」と批判されもしました。もっともケースが「静音か否か」という議論は本来額面通りには成立しないものですが、トレンドというものはそういう方向へ一気に走ります。特にこの2~3年は苦虫を噛み潰していました。今回、Core i7の消費電力(発熱量)を試してみた限り、アイドリングではまだPentium Dよりも若干おとなしいかなと感じましたが、負荷をかけるとほぼ同じか、若干高めの水準にまで跳ね上がります。これが今回のCore i7の決定的な特徴と言ってもいいかと思います。

 

 さて、D レベルの発熱量をどう克服するかという課題を突如突きつけられたと言うことになり、CPUクーラーメーカーやケースメーカーは高いハードルをクリアしなければならなくなりました。しかし、現実にはこのCPUを用いてパフォーマンスを追及するとなると、Pentium D時代とは比較にならないほどの発熱対策が必要になると思われます。特にケース内部全体を捉えると、GPUの発熱量の驚異的な増大、DDR3メモリの発熱量が無視できないレベルに達していることを考慮しなければケースは成立しないと思われます。もう新製品を発売するたびに、くどいくらいの冷却性能に関しての追求は、一部の熱心なファンからは「必要ない」と言われたほどです。しかし、Core i7を使い、トリプルチャンネルDDR3、2-WAY SLIとなれば、これは非常に過酷な環境がケース内部に発生すると言うことを意味します。WiNDyの場合、これまでALTIUM VRやFSR、そしてALCADIAをお使いいただいているお客様なら、AFASやPCI EXHAUST UNITで十分に対応していただけると思います。

 

 Core i7の登場によって、マザーボードはもちろんですが、CPUクーラー、メモリ、電源などは大きく変化してゆくと思います。そしてケースに関していうなら、ケース内部のエアフロー、特にフロースピードを如何に効果的に維持するかと言う点と発熱パーツの局所的な冷却性能を如何に追求できるかにかかっていると思います。WiNDyの場合で言うと、AFASという発想、そしてPCI EXHAUSTという発想が非常に有効に生きてくると思っています。

 

 ここ数年、いやこの2年間、停滞気味であった自作の醍醐味が、このCore i7で甦るのではないかと思っています。実際の性能は、従来のPCの基準を塗り替えることは必至。「もうこれ以上高性能なプラットフォームは必要ない・・・」という気分など、一掃されてしまうことでしょう。一度体感してみてください。今回のIntel Core i7 プラットフォームはまさに圧巻です。

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Posted by 有海啓介 | この記事のURL |