November
19
2008
4月になって大学2年に進級した娘が急に体調を壊した。4~5日非常に辛い状況が続いたらしく、急遽帰らせることにしました。自宅に戻っても一向に回復しないし、それどころか悪化するばかりで、救急病院へ担ぎ込むことに。紹介されたその病院での診断は「急性腸炎」ということで、担当医曰く「胃腸のインフルエンザみたいなものですよ」と。それにしても、その痛がり様は尋常ではない。処置室で数時間待たされた挙句に、私がクレームを入れるとようやく医師の診察となり、また1時間以上経過してようやく診断が聞けるという有様。いくら忙しいとはいえ、大声で泣き叫ぶ患者を数時間も処置室で待機させるというのは、納得が行かないし、また他の患者さん達に大いに迷惑だろう。その間、女房が付ききり、私は室外で待っていましたが、よく見ると処置室にも診察室にも、検査室にも、パソコン端末が置かれ、看護師さんや医師が来ても必ず同じ動作を繰り返していました。傍目で観察すると、いわゆる電子カルテの閲覧システムみたいで、娘のカルテが表示されていました。看護師さんは担当やリーダーの方が3名ほど、後は診察に来てくれた医師の方が、端末操作をしていました。それで少し驚いたのは、看護師さんは娘に「リンゲル」をしてくれます。そして、隣の患者さんに静脈注射をして、いろいろ処置してケアして、それでまた娘のリンゲルを交換してと、忙しく立ち回っている様子でしたが、その間何度もパソコン端末を叩くわけです。「えっ!?」と僕は思いました。「手を洗わない!?」「消毒しない!?」同じキーボードを使っているのに・・・・?まさか、キーボードやマウスの操作をしたそのままの手で、処置したりするのは、ちょっと納得がいかない。そこで、ナースステーションへ行くとそこでもパソコン端末が4~5台あって、観察すると同じような動作をしている・・・。一人の看護師さんに「あの・・・パソコンは特定の人用ではないのですか?」「使った後、手洗いはされないのでしょうか?」と質問すると、いぶかしそうな表情で「清潔ですから・・・」との答え。何を言ってるんだ、と思いました。清潔・・・・・。何が清潔なんだ?病院内は最も病原菌やウイルスがある感染性の高いエリアでしょう。しかも、診察やケアを手洗いせずに連続的に行ったら・・・。それだけは止めて欲しい・・・。その様子に凄くショックを受けました。僕が取り組んでいるテーマを、真っ向から否定されているような行為・・・・。しかし、こういうことが恒常的に行われているとしたら、便利になった反面、むしろ「院内感染の危険性は非常に高まっているのではないか?」と感じざるを得ません。けだし、それは、その通りだと思います。
使命感に燃えるというか、こういう状況を放置してしまったら、非常に危険だということを痛感しましたし、同時にキーボードやマウスは、細菌の繁殖やウイルスの滞在が十分に可能で、いや、まず状況によっては非常に多く存在しているということを、広く認知していただくこと。そしてその殺菌装置を開発して、広めて行かねばならないと改めて言い聞かせました。それは何も病院や診療所といった医療機関だけの問題ではなく、広く一般で会っても、手軽に殺菌できる装置があれば、日々の習慣として行うことにすればいいし、それを手洗いと並行して行えば、非常にクリーンな状態を保つことが出来る。たとえば、職場などでは、退社する前に殺菌する→出社して手洗いをする→キーボード・マウスを使って業務開始という習慣にすればいいのでしょう。簡単なことです。それが家庭であっても、どこであっても同じこと。もちろん病院などでは、使った後に僅か10秒の殺菌をする習慣を身に着ければよいわけです。これが1分とか数分というと、習慣にすることは実質的に困難でしょう。しかし僅か10秒前後であれば、出来ないことではありません。
幸い娘は大事に至ることなく、翌日には明らかに回復してきて、数日で元の体調に戻る事が出来ました。「急性腸炎」というのは、ウイルス性の場合も、そして細菌性の場合ももちろんあります。流行のノロウイルスだったのかも知れません。医師の方が急性腸炎と表現したことに対する怒りも多少感じましたが、そういう類の炎症を起こしたということでしょう。しかし、その娘のウイルスなり、病原菌は確実に飛沫やキーボードの接触によって、第三者にもたらされたことでしょう。幸いに僕は、それが症状が出て接触感染である、という事実があったとしても、知る由もありません。しかし、その危険性は大いにあったと思います。病気をすれば、人間皆気が弱くなります。そのときに親切に接してくれる看護師さんは、ほんとうに有難い、そして頼りになる存在です。しかし親切に接してくれた結果、「感染」となっても、それは気が付かないことであり、判らないことであり、判ってもあまり利益のあることでもありません。だからこそ、それを未然に防ぐ手立てをしなければいけないのでしょう。「院内感染」がよく訴訟問題になりますが、病院内の環境であればそういうことは日常茶飯と考えたほうが自然でしょう。万が一、訴訟にでもなれば、懸命に処置や看護をしていたことが、無に等しくなります。そういう可能性を可能な限り、なくすことがとても重要なことなのではないでしょうか?
職場でも、家庭でも、そういうことはすべて共通の意識だと思います。「現代人はあまりに清潔な環境で生活しているので抵抗力が無くなった」、とか「多少不潔な環境でも、人間は平気なんだ」とかいう意見が出てきます。果たしてそうでしょうか?そういう根拠をきちっと解明したうえでの意見なのでしょうか?仮に自分の生活空間や職場空間で自分の目の前に「便座」があって、その便座を常に触っていると言う行為が容認ないし許容されることはあり得ないでしょう?それでもまだ、先の意見を言われるのでしょうか?僕は、すでに30年近くパソコンのすぐ隣で生活して来ました。現在の仕事の一部としてキーボードやマウスを扱い、そして販売しています。その経験と、そして今日に至るまで様々なトライをして、あえてキーボードとマウスが汚れているという前提に立つべきだと主張しています。娘の件が僕の背中をポンと押してくれました。これはどう考えても、手軽に殺菌できる装置を普及させないといけない。そろそろ情報化社会というものは、単に前に進むことばかり考えるのではなく、振り返って確かなものなのかを検証する必要がありそうだと実感した事件でした。
これを期に、僕はアイディアを形にする作業に移行しました。女房のアイディアが僕の背中を少し押して、娘の病気が僕の背中をもう一度押してくれました。現実に取り組み始めると、これは本当に大変な、そして難しい作業である、ということを思い知らされました。まだまだ、書かねばなりません。明日以降も続けたいと思います。
Posted by 有海啓介 | この記事のURL |