VIOZONE

November
18
2008

 本日よりキーボード・マウス専用殺菌装置VIOZONEの販売を開始いたしました。

 左の上のモデルは、ある程度抗菌効果も期待でき、かつ汚れる度合いを極力抑えた病院・診療所・保健所等医療機関向けのVIOZONE MEDICAL、そして下は、WPMで少しだけ高級感を演出したVIOZONE VIPモデルです。

 まず、製品開発、そして発売までのプロセスで実に様々な問題に突き当たり、そしてその都度、課題をクリアしなければならなかった、本当に苦しい製品でした。簡単にではありますが、そのあたりのことを少し書きたいと思います。



  僕が最初にキーボードの汚れを意識したのは、ミネベア製のメカニカルキーボードを使っていた約5年前に遡ります。いまはもう製造をしていませんが、ミネベアはかつては相当数のキーボードを生産するメーカーでした。そして特にそのメカニカルキーボードは、僕くらいの年齢の人間にとっては、たまらないキータッチなのです。同社がオフコン用のOEM製品として開発した非常にサイズの大きなモデルが特に好きで、販売終了後、九十九電機さんにあった約10数本の在庫を全部分けていただいて「一生使える」と悦に入ってました。このキーボード、本当に使い心地が良くてしかもかなりの大判で、手の大きな僕にはピッタリでして、凄く愛着のある製品でした。10本以上確保してあるから・・・とは思ってもなかなか新しいモノを下ろすことが出来ないので、結局1本を何年か使うことになったわけです。このキーボード、メカニカル方式でしかもパンタグラフではなくスプリング方式。だから、時々ゴミが詰まって打感が変わることがある。そのたびに、ひっくり返してゴミを除去するのです。実は、生来あまり奇麗好きではないために、いきおいキーボードには数ヶ月、いや1~2年分のゴミが溜まります。同時に、荒い樹脂のシボ模様の仕上げのために、汚れがすぐに目立ってくるんです。それを机上でさかさまにしてゴミ出しをする。そのとき、机上に広がったゴミ、チリ、汚れといったら!これは・・・この形状だし・・・どうしようもないか・・・、でもこれは相当に汚いはず・・・。多いときには自分用のパソコンだけで(自宅も含めて)8台くらい使っていましたので、当然すべてのキーボードが汚れてしまうわけです。中にはほとんど使わないモノもあって、自然に塵やゴミが堆積してゆく。それもまた、非常に気持ちの悪いもの。そして長く使っていると、キートップがテカテカしてきて、皮脂で光ってきます。これはもっと嫌な感じがしますね。ですから、こういう体験を通じて、潜在的にキーボードはきれいではない・・・・という意識が生まれたのでしょう。

 

 一昨年、ウエブ上でイギリスの話題が掲載されたとき、ピンと来るものがありました。「公衆トイレの便座」よりも「靴底」よりも雑菌数がはるかに多い・・・・という記述に妙に納得していました。それまでに古いキーボードの分解掃除やら、拭き取りなどを何度も経験していましたので、その記事はストレートに入ってきた。自分と同じような疑問を持って、検査する人がいるということも親近感がありましたが、さすがに表現は誇大だろうとも思いました。そもそも雑菌が公衆トイレの便座よりも多いというのはにわかに信じられませんから。しかし、もしそうだとしたら、これは非常に気持ちが悪い。パソコン屋、ウエブ屋という職業柄、パソコンは本当に1日何時間も使い続けています。常にキーボードを打ち続け、そしてマウスの操作をしているわけです。そしてよく考えてみると、自分が最も触っている道具・・・・それも他の道具と比較するとダントツで長時間、触れているもの・・・・それがキーボード・マウスだということです。そこに無数の雑菌が付着していると考えただけで、最悪の気分でした。そこで、ならば殺菌してしまえばいい・・・なんとも単純にそう考えたわけです。殺菌してしまえば、多少汚れていようが、食べこぼしがあろうが問題ない。仕事しながら飲食もするし、眠くなれば目もこするし、タバコを吸えば口にも触れます。生活する、仕事をするというのはそういうことですから。もしかすると、そういう自然な動作の中で、何度も雑菌感染していたかもしれません。ならば、一つ殺菌装置を作ってみるか・・・・。いつも始まりはそんな単純な動機なのですね。

 

 さて、殺菌装置といってもどうしたらいいのか?とりあえずウエブでいろいろ調べてみました。そういう装置はあるのか興味もありました。最初にアクセスしたのが、ハンディタイプのUV殺菌装置で、その次がボックスタイプのもの、そして多くはHACCPに基づいて食品加工工程で使われる業務用でした。それらはUVCを用いたものであり、他にもオゾン殺菌や塩素殺菌など数種類ありました。もう作るのは簡単、UVランプで照らせばいい・・・。タネがわかった手品のように、単純にそう理解してしまったために、試作をつくる試みは中断してしまいました。

 

 開発再開のきっかけは「ウイルスにも効果があるのかな?」と質問を受けたことに始まります。鳥インフルエンザの話題がメディアにたびたび登場するようになり、それを見ていた女房が僕に質問してきたのです。女房は僕が「キーボードを殺菌する装置を作ってみようと思ってる」と言った言葉を覚えていたみたいで、TVでたっぷりとH5N1の恐ろしさを吹き込まれた後、そう質問してきたわけです。恥ずかしながら、この歳でイウルスと細菌の明確な区分もつかず、曖昧に「効くんじゃないか?」と応えていました。「だってさ、パソコンしながら咳とかするとイウルスがみんな付いちゃうよ」と・・・・。確かに言われてみれば、パソコンは自分のすぐ目の前にあるわけですし、1日仕事でもしようものならたっぷりと「飛沫」が付着するでしょう。「いくら手洗いしても、パソコンとか使ったら意味ないかも・・・・」それもごもっともなご意見で。「早く作ってみてよ!」 何でも作ればいいと言うものでもないし、作るとなると必ずユーティリティを考慮しないと意味がない。第一、殺菌は出来たとしてもそんな装置を実際に何処において使うの?下手をすると専用のデスクが必要になっちゃう?そこで頓挫。ならば、まずは知識を収集して理論的に実効を検証する、そのためにはある程度の細菌やウイルスに関する知識、紫外線に関する知識、電気回路や制御方法に関する知識が必要で、それらを一通り備えた上でもう一度ユーティリティを考えたなら何とかなるかも知れない・・・・。去年の夏過ぎから暇さえあればこれらの知識の収集に時間を割くことになったわけです。

 

 実際、どの分野もとにかく広く専門的で、並大抵の覚悟では入り込めないことがまず第一に判りました。専門書を見つけて読んでみる、ネット検索で必要な知識やデータを得る。それでも、自分の中で消化不良になって、どれも結びつけることが出来ない苦しさ。また、もし出来たとして、それは必要のある製品となりうるのか?という素朴な疑問。実際に殺菌しても、本当に細菌やウイルスが死んだのかどうかも判らない製品・・・。年末年始は工場の移転騒動もあったりして、開発は放置してもっぱら知識の組み立てをしていましたが、さすがにもう嫌気が差してきていました。どうでもいいことなのかも知れない。だって、いままでに世界中で何億人の人がパソコン使ってて、特に問題は報告されているわけではないし、無くたって別に何の支障もない・・・何の支障もなければあっても意味がない。しごく、論理的な結末です。

 

 今年の3月くらいになると、だいぶ頭の中の整理が付くようになりました。紫外線に関する知識と細菌やウイルスの殺菌が結びつくようになる。どうすれば殺菌できるのか?殺菌するにはそういう条件が必要なのか?紫外線の取り扱いはどうしたらいいのか?それらが知識として結びついてきて、殺菌装置がある程度想像できるくらいになってきました。紫外線放射強度の計算方法や測定の方法、それが細菌に当たると細菌はどうなるのか?どれくらいの放射強度が必要なのか?どういう方法が最適なのか?そして他の殺菌方法ではダメなのか?自分なりに可能な機構を考えて、絵を描いて、ということが出来るようになってきました。そのプロセスで意外な事実を多数発見できたことも非常に役に立ったと思います。そして紫外線殺菌に関して自分なりの理論的な解説が自問自答形式で出来るようになった。たとえば、棒状のハンディタイプの紫外線殺菌装置のきわめて曖昧な説明やスペック、そして紫外線という放射線の一種を取り扱う割には雑な理論。エアタオルに装着された紫外線殺菌ランプはちょっと危険なんじゃないか?とか、危険な割には殺菌効果は非常に薄いとか・・・。収納ボックスタイプの殺菌装置などは、本当に殺菌できているのか非常に疑問である、少なくとも照射面意外は殺菌効果はほとんどないので、その当たりの記述もまったく曖昧だ等々次々に製品を見ただけで判るようになりました(他の製品を批判している記述ではありません)。その点、業務用の殺菌装置は理論的に非常にしっかりしているが、反面たとえば10必要なところに50の紫外線をあてて万全を期す、見たいな発想で作られたものが大部分です。したがって一般用としては図抜けて高価格な製品となります。あれやこれやで、春先には僕は、非常に頭デッカチの状態でした。

 

 ここまでに僕は人生を左右するような大きな変化の渦の中にいました。そういう意味ではこの数年間、満足に睡眠さえも取れたことがなかったと思いますし、多くのトラブル、人間関係、金銭的な苦労、そして実に様々なプレッシャーに苛まれて過ごしてきました。決して極端なたとえではなく、いつ自ら幕を閉じようかと常に考えるような日々。感覚さえも麻痺してしまうくらいの恐怖感。自分への失望感。最初は自分以外のすべてのモノに対する敵対心、それはいつの間にか自分への敵対心に変わるということを初めて経験した思いでした。しかし、そんな日々にあって、何か一つ打ち込めるものが欲しかったし、僕の場合VIOZONEの研究が我が身を救ったと思っています。今年の3月くらいまでは、具体的な行動は起こせないでいましたが、背中を押されるような出来事が4月になると起こりました。長くなりましたので続きは明日。

 

 

 

  



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Posted by 有海啓介 | この記事のURL |